ジビエ料理を作ろう!(恐怖のキンクロハジロ篇) パート2
さて気を取り直して精肉していく。
むね肉を2枚切り取る。
すごい。
魚介の臭いがする。
これは近所の川で釣ったウグイを食べようとワタを抜いた時と同じ臭いだ。
見た目は鳥なのに魚の臭いがする。
とても不思議である。
むね肉は散弾が当たった場所に血が固まりゲル状になっている。
よーく洗って血を落としつつ弾が残っていないか確認する。
さて、この臭いだと絶対鍋にしてはいけない。
おそらく真の闇鍋が出来上がるだろう。
やはり焼くか。
とりあえず全てのむね肉ともも肉に塩を振る。
きつめに振る。
ムネもモモ
— 五更アヤネ(ハンティング用) (@gudagudabrog) November 26, 2019
あぁ言葉の響きはいいのになぜときめかないんだ… pic.twitter.com/E0WfJSs0vO
そしてぶつ切りにして串にさしグリルの中へ。
着火してから少し経つとやはり独特な臭いが充満してくる。
換気扇は回しているはず。
グリルの中で脂が落ち、じうじうとお肉の焼ける音がする。
コガモやヒヨドリの時はこの音がおいしそうに食欲をかき立てた。
だが、今回は。
さながら地獄で苦しむ亡者の声のような、そんなおぞましい音に聞こえる。
片面が焼けたので一旦グリルをあけてひっくり返す。
うむ。生臭い。
数分後。
焼けた。焼けてしまった。
とりあえず一緒に松本一本ネギを焼いておいたので一緒に盛り付ける。
そして特製ショウガモヤシをともに食卓に並べて準備完了。
いざ実食。
いただきます!!!!!!!!!! pic.twitter.com/1hU5yBdzh1
— 五更アヤネ(ハンティング用) (@gudagudabrog) November 26, 2019
「うぐっ!」
予想していた風味が口に到来する。
血抜きに失敗したレバーに決してきれいとは言えない川で釣ったウグイの塩焼きを足して3で割ったような味。
噛めば噛むほど風味が強くなる。
こんな味の肉がこの世にはあったのか。
個性的で面白い味だ。
とっても。
ヒヨドリの時に何気なく作った
“自分で獲った鳥は必ず塩焼きで素材の味を確かめる”
ルールをこの時ばかりは後悔した。
己を呪った。
しかし後悔先に立たず。
時すでに遅し。
焼き鳥を一口食べてネギを二切れ。ネギの旨味を最大限に味わう。
焼き鳥を一口食べてショウガモヤシをほおばる。ショウガの清涼感を舌全体で感じる。
うむ。
付け合わせが無かったら確実にやられていた。
RPGの回復役キャラクターのように私の傷ついた味覚を正常にしてくれる。
しかし回復魔法を使うとのMPが無くなるように、焼き鳥を一串食べきったところで付け合わせのネギとショウガモヤシが無くなってしまった。
素材の味は確かめた。
これでもうルールは守った。
残りは焼肉のたれで絡めよう。
そうしよう。
早速肉を串から外してフライパンへ。
ニンニクと七味唐辛子、はちみつを追加した焼肉のたれで絡め焼く。
臭いはごまかせたようである。
さて味は。
うむ。
遠くでウグイが跳ねている。
しかし何とかなりそうだ。
無理やり口に押し込み一息に飲み込む。
ごちそうさま。
なんとか食べきったはいいが、口の中でキンクロハジロが飛び回っている。
この臭い、どうしたものか。
そうだ!!!!!ジャスミン茶があった!!!!!!!
そう、ちょうど家には職場関係の方が台湾に行った際お土産で買ってきてくれたジャスミン茶のティーバッグがあった。
部屋がキンクロハジロ臭に包まれてるので、台湾土産のジャスミンティーを沸かしてみます。
— 五更アヤネ(ハンティング用) (@gudagudabrog) November 26, 2019
いい香りだ… pic.twitter.com/nGb3lCrceX
早速ソロクッカーとコンパクトバーナーでお湯を沸かしお茶を淹れる。
ジャスミン茶の芳醇な香りが男やもめの薄汚れた空気感を清浄な空間へと昇華させるようだ。
一口啜る。
おいしい…ホロリ。
心と体に染み渡るジャスミン茶。
ジャスミン茶のおかげで飲みきるまでのひと時。
非常に優雅で贅沢な時間に浸れた。
その後わたしは部屋中に消臭剤を吹き付けながら、これからキンクロハジロを見かけても無視することを固く、固く心に誓ったのである。