人生初のハンティングへ!!パート4
先輩を見送った後、さてどうしたものかと考える。
午前中は水鳥を狙って動いたから午後は陸鳥を狙って動いてみよう。
懇意にしている農家さんから「私の畑にキジがいるだよ。畑仕事しててもジッとそこにいるだよね。逃げんだよ。うちの畑周りなら撃ってもいいでね。」と聞いたことがあったのでいざそのポイントへ。
30分ほど車を走らせ到着。
ウエストバッグを装着、リュックを背負い、銃袋を持って出陣。
駐車場所から両側を山に挟まれた畑エリアまで傾斜のきつい農道を3分ほど歩く。
耕作放棄地、リンゴ園、露地栽培野菜畑の混在するエリア。
キジはオスしか撃てない。桃太郎の絵本に描いてあるあの赤い顔を探してきょろきょろしながら歩く。
まだ雑草が茂って見通しが利かない。
(今日は晴れて良かったなぁ~)
のんきなことを考えて歩いていた瞬間。
「「ケェェ!!クケェェ!!」」真横3mから2羽飛び出した。
全く気が付かなかった。
情けないことに驚いて私も叫んでしまった。
撃てない距離へ颯爽と飛び去るキジ。
呆然と見送る私。
しばし放心して気を取り直しまた進む。
10m進まないうちに真横の耕作放棄地のススキのあたりからカサコソ音が。
まさかと思い足を止めた。
「ケッケェェ!!」
またか!どれだけいるんだここは!
あとで聞いた話によるとキジは動いてる音や足音より、それが止まった時に飛ぶとのこと。
飛ばれたら私のエアライフルではどうしようもない。
キジはもう諦めて先ほど先輩と別れたポイントへ戻ることにした。
戻ってきて車を降りる。時間は15時を過ぎた。先ほどは緊張で聞こえなかったが存外ヒヨドリが多いらしい。
「ヒーヨヒヨ」と名前通りの鳴き声がする。
早速狙ってみる。せわしなく飛び回っているが、数分おきに必ず留まる木があることに気が付いた。
そのうちの1本に狙いをつける。
来た!
引鉄が違和感なく引けた。
パシッ!と軽い着弾音が聞こえヒヨドリが木から落ちる。
獲った!
銃に弾が入っていないことを確認して発射できないようにデコッキング操作をしてから安全装置をかける。
ここで大きく一息。
いつからか呼吸を忘れていたのかもしれない。
だがこれで終わりではない。
回収だ。
獲物を回収しなければ。
手前は藪だが特徴的な木なので見失うこともなく行ける。
ヨシ!
一歩踏み出したその時
ズブッ!!!
「ひぃええええ!!!」
草が倒れていてわからなかったが小川が流れていてそこにひざ下まで一気に踏み抜いてしまった。
前のめりに倒れ込むなか危うく銃を落としそうになるがとっさに体を反転させおしりから転ぶ。
散弾銃と違い空気銃は濡れて浸水してしまうと専門店での修理が必要になるので死守。
幸い濡れておらず一安心。
下半身ずぶぬれでヒヨドリを探して木の下をうろうろ。
血痕があった。近くだ。
いた。
首に当たっていた。
食べるところも残り、獲物も不要な苦しみの無い理想的な場所だ。
獲物が取れて満足したことと下半身がびしょぬれなのでこれにて終了。
初めての猟は取れないジンクスがあると師匠に言われていたのでホッとして帰路についた。
(人生初のハンティングへ!! 終)