2回目の出猟 パート3
6羽ほど泳いでいる。
池のほとりに伏せ、ウエストバッグを外して銃を置き簡易委託台にする。
かかとを立てないよう伏せて狙う。気分はまさにスナイパー。
俯瞰していればさぞカッコよかったことだろう。
流れ込みが近いようでカモは少し波で揺れている
レティクルの中心を胴体の中心へ。
アニメルパン三世のキャラクター次元大介が「体の真ん中を狙えばズレてもどこかに当たる。」といっていたので真似てみる。
次元大介は拳銃のM19コンバットマグナムでクレー射撃(おそらくトラップ)を全弾命中させる男。
間違いはないだろう。
スーッとカモが対岸に寄っていく。
しまった警戒された。
しかしそこはこちらから丸見え。
さらに足がついているのか波で体が動いていない。
距離は50mくらいか。
獲れる。
狙いを体から頭に変更。
パン!
ピシィ!
軽い着弾音と同時にカクッとうなずくように首が落ちる。
他のカモたちは一斉に飛び立つ。
当たった!
弾が入っていないことを確認しもう一度デコッキング操作を行い安全装置をかける。
ヨシ。
岸際なので回収は楽そうである。
撃ったカモを見失わないように池のふちをてくてく歩く。
今回はすぐに見つかった。
しかし足元は泥が深そうだ。
あいにく長靴ではなくトレッキングシューズ。
早速自作カモキャッチャーで手繰り寄せる。
2.7mの振り出しリール竿にスピニングリール。
どちらもアマゾンで買ったもの。
ラインの先に茹ダコの足のようにカールさせた針金を結び付けたものにオモリ兼ウキのスーパーボールが取り付けてある。
距離は5mほど。振り子の要領で投げる。
5~6回で引っかかった。
針金の形を改良する必要がありそうだ。
後頭部に当たったようで脳震盪をしているのか飛ばないがまだ息がある。
血抜きを兼ねて頸動脈を切って〆ることにした。
大学生時代に講義で合鴨を〆て鍋にするというものがあったので何となくは知っていた。
実際にやるのは数年ぶりだ。
翼をクロスさせ羽交い絞めにする。
それからプロレス技のキャメルクラッチの要領で首を反らせる。
文房具用の細めのカッターを煮沸洗浄して工業油を落としたものであらわになった頸動脈を切る。
うまく切れたので反転。
翼と足を上に切り口が開くように首を下に向ける。
その時、カモと目が合った。
何故か目をそらせない。
事切れるまで数分間無言で見つめる。
私の中に何か強い感情が湧き出したが言葉でうまく表現が出来ない。
興奮、謝罪、歓喜、憐憫、感謝、そして恐怖。
おそらくそういったものが同時にあったと思う。
私の手の中でカモは最期を迎え痙攣、瞼が静かに閉じる。
ウエストバッグから黒いビニール袋を取り出し入れる。
カッターを池で軽く洗いウエストバッグへ仕舞う。
さて、帰ろう。
(2回目の出猟 終)