シカを捌く。パート2
まずは先輩から。
シカをうつ伏せにして首の付け根あたりから背骨に沿って皮を切っていく。
そうして腰のあたりまで行ったら足側に切り下す。
首の方も切り下し、皮と肉の隙間に刃を入れて皮を剥いでいく。
先輩は最初の皮を切る段階で何度か肉にナイフを突き刺してしまったようだ。
そして背骨沿いにブロック状についている部分を背骨とあばらから剥がすように切り取っていく。
これで背ロースが一本とれた。実際に作業した時間は5分ほど。
今度は背骨の反対側にあるもう一つの背ロースを私が切り取る。
先輩のやる様子を見ていたためかすんなり進む。
作業は魚の三枚おろしに近い感覚だった。
すんなり進んだのも魚の三枚おろしを覚えていたおかげかもしれない。
最初に血がたくさん出ると脅されたが自分の考えていたより出血は少なかった。
(ポンプの役割をする心臓も止まっているし血が内臓の方にたまっているのかもしれないな。)と考えながら捌いていると。
「ここ押さえておくよ」と師匠が不意に右手で切り口近くを押さえた。
集中できていなかったため手を止めることができずナイフが師匠の手に当たってしまった。
幸い切り傷刺し傷は一切無かったものの一歩間違えば大けがであるし、解体中のけがは感染症等のリスクがあると聞いた。
師匠に平謝りし猛省。
師匠は笑って許してくれたが二度と起こさないように自分で戒める。
以後は集中して取り組み私も5分ほどかけて背ロースを一本取ることが出来た。
時間が少し余ったのでモモ肉も外すことに。
本来は先にモモを外した方が楽とのことだった。
例外的な外し方をしたので次回楽なやり方を教えてもらえるとのことで
モモ肉は師匠にあらかた捌いてもらった。
先輩と私は背ロースとモモ肉を一本ずつ貰い帰路についた。
(シカを捌く。 終)